インド紅茶の生産と市場動向:Tea Board Indiaの最新公式統計に基づく分析
Tea Board India(インド紅茶局)が公表した公式統計および生産動向データを基に、インドにおける紅茶生産の全体像と最新の数値を整理する1。公表された一次資料に基づき、対象期間と定義を明確にして実態を読み解く。
アイキャッチはアッサムやダージリンなどのインド茶園の景観をイメージした解説用イラストであり、特定の農園や統計図表を直接撮影したものではない。
1. 2025年通年の確定生産:全インドで約14億kg規模
Tea Board Indiaの確定統計「Final Tea Production in 2025 (Jan-Dec)」によると、2025年1月1日から12月末までの1年間におけるインド全体の総生産量は1,395,530,000kg(約13億9,553万kg)であった2。
インドの紅茶生産は北部(アッサムや西ベンガルなど)と南部(タミル・ナードゥやケーララなど)に大別される。2025年の地域別内訳は以下の通りである。
| 地域・州名 | 2025年通年生産量(kg) | 全体に占める割合 | 主な特徴・内訳 |
|---|---|---|---|
| 北インド合計 | 1,161,300,000 | 約83.2% | アッサムや西ベンガル(ダージリン、ドアーズ、テライ)を含む国内最大の産地。 |
| アッサム州 | 699,580,000 | 約50.1% | アッサム・バレー(661.27M.Kgs)とカチャール(38.31M.Kgs)の合計。 |
| 西ベンガル州 | 421,630,000 | 約30.2% | ドアーズ(229.29M.Kgs)、テライ(186.74M.Kgs)、ダージリン(5.60M.Kgs)の合計。 |
| 南インド合計 | 234,230,000 | 約16.8% | タミル・ナードゥ州(171.63M.Kgs)を中心に、ケーララ州、カルナータカ州が続く。 |
| 全インド総生産 | 1,395,530,000 | 100.0% | 2025年12月末時点の確定累計値。 |
アッサム州単体でインド全体の約半分(50.1%)を生産している。また、西ベンガル州に含まれるダージリンの年間生産量は約560万kg(5.60 M.Kgs)であり、インド全体の生産量の中ではごくわずかな割合(約0.4%)にとどまる2。
2. 製法別の構成:CTCが約88%を占める市場構造
同統計における製法別の内訳は以下の通りである2。
| 製法・カテゴリー | 生産量(kg) | 構成比 | 概要・特徴 |
|---|---|---|---|
| CTC紅茶 | 1,227,660,000 | 88.0% | インド国内の日常消費やティーバッグ向けに大量生産される主流の製法。 |
| オーソドックス紅茶 | 149,040,000 | 10.7% | 伝統的な製法で作られ、ダージリンや一部のプレミアムアッサムなどが含まれる。 |
| 緑茶(Green Tea) | 18,830,000 | 1.3% | 国内外の健康志向の高まりに応じて生産される緑茶類。 |
インド市場の最大の特徴は、生産量の約88%がCTC製法である点である。オーソドックス製法は全体の約1割程度であり、専門店で目にするダージリンや一部の高価格帯アッサムなどは、この限られたパイの中から流通している2。
3. 2026年の動向:月次推定生産から見える変化
Tea Board Indiaは、月ごとの速報値として「Estimated Production」を公表している1。2026年6月単月の推定生産データを見ると、全インドの単月生産量は160,430,000kg(約1億6,043万kg)となっており、前年同月(140,570,000kg)から増加傾向を示している1。
この時期の北インドではモンスーンの雨を受けながらアッサムやドゥアーズの茶園で茶葉の生育が活発化しており、2026年6月の北インド推定生産は134.31 M.Kgs(前年同月は119.32 M.Kgs)に達している1。一方で、ダージリンの2026年6月単月の推定生産は0.49 M.Kgs(前年同月は0.60 M.Kgs)と、気候変動の影響を強く受けるプレミアム産地ならではの変動が見られる1。
4. 情報読解における留意点
インドの紅茶に関して散見される誤解や情報の混同を防ぐためのポイントを整理する。
| よくある誤解・表現 | 事実(一次資料に基づく確認) | 安全なアプローチ |
|---|---|---|
| 「インドではオーソドックス紅茶が主流である」 | 2025年統計ではCTCが88.0%、オーソドックスは10.7%にとどまる2。 | インド市場の主力はCTCであることを前提に説明する。 |
| 「ダージリンはインド最大の生産地である」 | ダージリンの生産量(約5.6万トン)は全インドの0.4%未満2。 | 生産量ではなく、香味や歴史的ブランドの文脈として区別する。 |
| 「月次推定値を年間総生産と勘違いする」 | Tea Board Indiaの「Estimated Production」はあくまで月ごとの速報値1。 | 月次速報と「Final Production」の年間確定値を混同しない。 |
まとめ:数字の土台からインド紅茶の現在地を捉える
Tea Board Indiaが公表する一次資料に基づけば、インド紅茶は「圧倒的なボリュームを誇るCTC製法によるアッサム等の大量生産」と、「限られた地域で育まれるオーソドックスおよびダージリン等のプレミアム生産」という二つの側面を持っている1。2025年の14億kgに迫る生産基盤と、2026年の月次推移をセットで把握することが重要である。
インドやスリランカをはじめとする世界の産地から厳選された紅茶については、サラトナのオンラインショップでも取り扱っている。
参考資料
参考資料の最終確認日:2026年8月12日。数値はTea Board Indiaの公式公表値に準拠している。
関連ハブ:紅茶の産地・科学ハブ


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