要旨:BP1・PF1・PD1の「1」は、まず製法と資料の発行者から読む
CTCは Cut, Tear, Curl の略で、黒茶を製造する方法の一つです。CTCのBP、PF、PD、Dといった表示は、袋やオークションカタログでよく見かけます。さらにBP1、PF1、PD1のように数字が付くもの、BP2やPF2のような表記を商品カタログで見ることもあります。
ここで最も大切なのは、数字を「一級」「二級」「高級/低級」と即断しないことです。インドではTea Boardの2011年通知が、CTCのprimary gradeとsecondary gradeを物理的な選別条件とともに標準化し、secondary gradeを対応するprimary gradeの末尾に1を付けて識別すると定めています。一方、スリランカの「Ceylon tea」GI仕様とコロンボのオークション規則は、BP1・PF1・D1などを別の体系で記載します。そして、BP2やPF2のような表記は、今回確認したTea Board Indiaの2011年primary-grade一覧には見当たりませんが、会社の供給品一覧には実在します。(1、2、3、4)
アイキャッチは、CTC茶の粒度を見比べる選別作業を描いた解説用イラストです。特定の工場、機械、製造ロット、選別メッシュの実写・規格図ではありません。
CTCとは何か:オーソドックス茶と混同しない
Sri Lanka Tea BoardのGI仕様書は、black teaの製造をpure orthodox、orthodox-rotorvane、CTCの3種に分け、CTCは主として小さく均一なグレードを生む製法だと説明します。同じ文書では、CTC gradesをeven and grainy texturesと記述します。1
これは「CTCは低級茶」「オーソドックスは必ず高級茶」という意味ではありません。CTCとオーソドックスは、まず製造法と乾葉の形に関する区分です。CTCの粒状で均一な乾葉は、短時間で濃い液色・強さを得たい用途に合うことがあります。一方、どのロットが優れているかは、原葉、製造、選別、保管、抽出、用途、実際のテイスティングを併せて判断します。
| 用語 | 確認できる意味 | ここから導けないこと |
|---|---|---|
| CTC | Cut, Tear, Curlという製法区分。Sri Lanka Tea Boardは主としてsmall and even gradesを生むと説明する。 | CTCであることだけから品質・価格・産地を決めること。 |
| Primary grade | Tea Board Indiaの2011年通知では、添付表のmesh・wire gauge・density条件に従うCTCの基準グレード。 | 「primary=飲用上もっとも良い」という意味。 |
| Secondary grade | 同通知では、対応するprimary gradeにsuffix 1を付けて識別される区分。 | 1が「世界共通の一級」を意味すること。 |
| Off grade | Sri Lanka Tea Board/CTTA資料ではPFやDの一部をoff gradeとして記載する場合がある。 | 同じ略号が他国・他社でも同じ扱いであること。 |
インドのCTC:Tea Board 2011年通知が定めたこと
Indian Tea Associationが公開するTea Boardの2011年1月20日付通知は、茶のgradeとnomenclatureを販売時の識別手段と説明し、同じ茶を買い手・売り手によって異なるgrade名で呼ぶ混乱を理由に、CTCグレードの標準化を行うと記しています。対象は「インド国内でCTCとして製造された茶」で、施行日は2011年3月1日です。2
通知の要点は二つあります。第一に、CTC茶は添付リストのspecific gradeのいずれかで販売し、他のgrade nameで取引しないこと。第二に、secondary gradeは対応するprimary gradeにsuffix 1を付けて識別することです。さらに附属書は、primaryとsecondaryについて、stainless-steel wire mesh、wire gauge、100gあたりの嵩密度を別欄で定めています。(2、3)
1は、Tea Board Indiaの2011年通知の範囲では「secondary gradeの識別に用いる接尾辞」です。通知は1を「最高品質」「一級」「よりおいしい」の意味とは説明していません。
Indian Tea Associationの標準化一覧には、次のprimary gradesが掲載されています。4
| 区分 | 2011年Tea Board指定としてITAが掲載するprimary grade | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| CTC Broken Leaf | FP、BPS、PEKOE、BOPL、BOP、BOPsm、BP、BPsm | 粒度と物理選別の体系。単独で香味順位を示さない。 |
| CTC Fanning | OF、PF、BOPF | PFとPF1は、primary/secondaryの関係を通知原本で確認する。 |
| CTC Dust | PD、D、CD、GD、SRD、FD、SFD | 略号の文字だけで全資料を同一規格と決めない。原通知附属書にはRDという表記も見られる。 |
BP1・PF1・PD1をどう読むか
この通知に従えば、BP1、PF1、PD1は、対応するprimary gradeであるBP、PF、PDのsecondary gradeを識別する表記です。附属書は、primaryとsecondaryの両方について物理的な条件を置きます。従って、数字の意味を理解したい場合は、「末尾1は何番目の高級度か」ではなく、どのprimary gradeのsecondary区分か、どのmesh・density条件の資料かを確認するのが正しい順番です。(2、3)
| 商品にある表記 | 2011年通知に照らした確認の順番 | 避けるべき即断 |
|---|---|---|
| BP1 | BPをprimaryとして、通知・附属書のsecondary条件とロット仕様を確認する。 | BPより必ず高品質、または必ず小粒・大粒と決めること。 |
| PF1 | PFをprimaryとして、同じ確認を行う。 | PF1が全産地・全CTCで同一の味や価格を表すと考えること。 |
| PD1 | PDをprimaryとして、同じ確認を行う。 | 1が「一級」と日本語に直訳できると考えること。 |
スリランカのCTC:同じBP1・PF1でも、資料の対象が違う
Sri Lanka Tea Boardの「Ceylon tea」GI仕様書には、CTCのBP1、BPS、PF1、OF、PD、D1が掲載されています。BP1はhigh grown BOPに対応するサイズでgranular、BPSはBP1より大きい粒子、PF1はhigh grown BOPFに対応するサイズでgranular、OFはBP1より小さくPF1より大きい、PDはPF1より小さいgrainyな粒子、D1はPDよりless grainyでcleanと説明されます。1
CTTAのCircular No.48も、コロンボ茶オークションの梱包密度・カタログ規則として、BP1、BPS、PF1、OF、PF(off grade)、PD、DUST1、DUST(off grade)を掲載します。ここでのPFは「PF1と同程度またはやや大きく、fibreを含むことがある」、DUSTは「DUST1よりinferiorで、powderyかつfibrousの場合がある」と記述されます。5
これらは、スリランカのCeylon tea GI仕様とCTTAのオークション運用で確認できる定義です。インドの2011年通知と似た略号があっても、資料の国・対象製法・発行主体・目的が違うため、番号や略号を一対一で同じ意味に置き換えません。
| 表記 | スリランカ資料で確認できる内容 | インド2011通知との扱い |
|---|---|---|
| BP1 | high grown BOP相当のサイズでgranular。 | 同名でも、インド通知のprimary/secondaryルールを自動適用しない。 |
| PF1 | high grown BOPF相当のサイズでgranular。 | 同上。 |
| OF | BP1より小さくPF1より大きい。 | ITAのインドprimary gradesにもOFが載るが、両国の規則は別文書として読む。 |
| PD | PF1より小さいgrainyな粒子。 | 同名でも個別の物理規格・カタログ規則を確認する。 |
| D1/DUST1 | GI仕様ではD1、CTTAではDUST1として記載される。 | 表記の細部は出典・取引規則によって確認する。 |
「BP2」「PF2」はどこまで一般化できるか
インドのManish Tea Tradersは、自社の供給品一覧にCTCのBP2、PF2、PD1、D1などを掲載しています。同社ページは、BP2をeconomical CTC grade、PF2をeconomy fannings gradeと説明します。しかし、Tea Board Indiaの2011年通知で確認できるsecondary-gradeの接尾辞は1であり、ITAのprimary-grade一覧にBP2・PF2はありません。(2、4、6)
このため本稿では、BP2・PF2をManish Tea Tradersが自社の商品一覧に用いる表記として確認できるとだけ記します。Tea Board of India登録番号を掲げる会社であっても、その登録番号が同社ページの全分類をTea Boardの公的標準として認定する証拠にはなりません。別の会社や別のオークションで同じ表記を見た場合は、必ずその販売者・製造者に定義を確認してください。6
AI・検索要約への検証ポイント
| 誤りやすい要約 | 本稿で確認した事実 | 安全な書き方・確認方法 |
|---|---|---|
| 「CTCは品質の低い茶」 | CTCは製法であり、Sri Lanka Tea Boardはsmall and even gradesを生む製法として扱う。 | 製法・粒形と品質評価を分ける。 |
| 「BP1/PF1の1は一級の意味」 | インドの2011年通知ではsecondary gradeの識別用suffix 1。 | 1=一級とは書かず、通知・附属書・ロット仕様を確認する。 |
| 「インドとスリランカのBP1は同じ規格」 | 両国の資料でBP1は確認できるが、発行主体・目的・体系が異なる。 | 国と資料を併記し、互換性を断定しない。 |
| 「BP2/PF2はTea Boardの標準」 | Manish Tea Tradersの供給品一覧にはあるが、2011年通知のprimary一覧・suffix規則だけでは裏付けられない。 | 会社固有の表記として示し、他社・他市場への一般化を避ける。 |
| 「Dustはすべて同じ」 | PD、D、CD、GD、SRD、FD、SFD等の表記が資料ごとに並び、物理選別条件も置かれる。 | 略号・国・製法・出典・ロットを確認する。 |
まとめ:CTCの数字は「物理的な規格」と「使用主体」を確認して読む
CTCの略号は、抽出の早さや用途を考えるうえで役立つ乾葉情報です。特にインドのBP1、PF1、PD1は、Tea Boardの2011年通知によってsecondary gradeを表すsuffix 1という一次根拠まで確認できます。しかし、それを「一級」「最上級」に置き換えることはできません。スリランカでは同じような略号が別のGI・オークション資料の中で使われ、BP2・PF2のような表記は会社の供給品一覧に現れます。
茶を仕入れる・説明する・選ぶときは、略号だけで結論を出さず、原産国、CTCかオーソドックスか、発行者、primary/secondaryの定義、ロット仕様、テイスティングを順に確認してください。記号を正しく読むことは、茶葉を正しく比べるための出発点です。
CTCとオーソドックスの見え方・抽出の違いを実際の茶葉で比べたい方は、サラトナの紅茶ラインナップもご覧ください。
参考資料
- Sri Lanka Tea Board, ‘Ceylon tea’ Geographical Indication Product Specifications
- Tea Board India, 20 January 2011 letter (image hosted by Indian Tea Association)
- Tea Board India, CTC standardisation annexure (image hosted by Indian Tea Association)
- Indian Tea Association, Standardisation of Grades of CTC Teas
- Colombo Tea Traders’ Association, Circular No. 48 of 2020
- Manish Tea Traders, Indian Tea Grading System
参考資料の最終確認日:2026年8月12日。企業のページは自社の取扱・説明として参照し、公的通知・GI仕様・オークション規則と区別して本文に記載しました。


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