スリランカ紅茶の立役者でもある「ジェームス・テイラー」
そう。孤独だったという人もいるが１６歳でスリランカに渡った彼を支えた人がいたはず。そんな疑問から文献を漁ってみた。そうすると一人の名前に目が止まった。「NOBEL」とか「NOBLE」とか・・・。だれだこれ？調べてもなかなか何も出てこない。
インドやスリランカは記録が残ってないことも多い。しかし、絶対なにかの記録が残ってるはず。そんな私の疑問や希望や期待が入り乱れつつ長い調査にかかることにした。
これだけスリランカ紅茶の文献があるのに、何も出てこない。その調査をしていった記録の一片を皆さんにお見せします。楽しい文章は一切ありません。ただ、大変だった調査を少しでも感じていただけたらと思います。
目次
決定的発見：1864年11月20日船舶記録
出典: The Silver Bowl – 1864 passenger lists on Ceylon, Malta, and Emeu
URL: https://www.thesilverbowl.com/misc/FarEast/1864-Paseenger-lists.html
P&O船舶「Malta」乗客記録（1864年11月20日出発）
航路: Marseilles to Bombay via Gibraltar, Malta, Suez
From MARSEILLES乗客リスト
- Lieut. Doveton
- Col. Steel
- Lieut. Ward
- the Rev. Leigh Lye
- the Rev. Mr. and Mrs. Blunt
- Miss Hare
- Mrs. Morris
- Mr. Foggo
- Mr. Steel
- Mr. and Mrs. Laidlaw
- Mr. Lund
- Capt. Speer
- Mr. Skilliter
- Col. de lisle
- 🎯 Sir D. Wedderburn ← 我々の調査対象
- Mr. Passmore
- Mr. and Mrs. Repton
- Messrs. Davidson, Stewart, Finlay, Smerdon, McClure
- 🎯 Jackson ← Thomas Jackson（香港上海銀行創設者）
- Jones, Calman
重要な発見事項
1. Sir David Wedderburnの確実な記録
- 日付: 1864年11月20日
- 出発地: Marseilles
- 目的地: Bombay
- 船舶: P&O steamship “Malta”
- 記録: Allen’s India Mail（公式記録）
2. 著名な同行者：Thomas Jackson
- 身元: 後の香港上海銀行（HSBC）創設者
- 重要性: 同じ船で同じ航路を旅行
- 時期: 1864年、Jackson初回香港行き
3. 他の注目すべき同行者
- Col. Steel: 軍人（植民地関係者）
- Rev. Leigh Lye: 宣教師
- Capt. Speer: 軍人
- Col. de lisle: 軍人
歴史的文脈
1. 1864年の東洋航路
- Overland Route: 地中海経由インド航路
- P&O: Peninsular & Oriental Steam Navigation Company
- 所要時間: Marseilles to Bombay約22日間
- 重要性: スエズ運河開通前の主要航路
2. 乗客の特徴
- 軍人: 多数の軍人（インド駐留軍関係）
- 宣教師: キリスト教布教活動
- 商人: 貿易・金融関係者
- 政治家: Sir David Wedderburn（国会議員）
3. セイロンとの関連
- 航路: Bombay到着後、セイロンへの接続便利用
- 目的: コーヒー農園視察、茶業調査
- 時期: James Taylorの茶業開始期と一致
「斜め上からの視点」の成果
1. 個人研究サイトからの発見
- The Silver Bowl: 家族史研究サイト
- Thomas Jackson研究の副産物として発見
- 公式記録の詳細な転写
2. 関連人物ネットワークの活用
- Thomas Jacksonの旅行記録から逆算
- 同行者リストからの人物特定
- 複数の著名人の同時旅行
3. 一次資料の確認
- Allen’s India Mail（1864年）
- P&O公式乗客記録
- 新聞記事からの転写
次の調査方向
1. Thomas Jacksonの記録
- Jackson家の文書・日記
- HSBC史料での言及
- 香港到着後の記録
2. 他の同行者の記録
- 軍人の従軍記録
- 宣教師の布教記録
- 植民地政府記録
3. セイロン到着記録
- Colombo港の入港記録
- 政府訪問者記録
- ホテル宿泊記録
この発見により、Sir David Wedderburnの1864年東洋旅行が確実に証明され、James Taylorとの出会いの歴史的文脈が明確になった。
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